インフルエンザ治療薬の報道と、自分の過去について・・・長っ

インフルエンザ治療薬タミフルの副作用について、マスコミでずいぶんと騒がれてますね。

10代への投与を原則禁止とする、異例の措置です。

タミフルを10代が飲むと、異常行動が起こり、自殺する場合があるということですが・・・なかなか医師、薬剤師の間でも意見の分かれるところです。

報道であまり触れられていない所も含めてお話しましょう。

その異常行動の発生ですが、インフルエンザにかかると多かれ少なかれ起こるとされます。

インフルエンザ脳症といい、インフルエンザの原因ウイルスが脳に進入することで、発病する病気です。
インフルエンザにかかった人、全員が起こるわけではなく、起こりやすい人や起こりにくい人がいるそうですが、高熱が続いた場合、小児で発症する可能性は16%と言われています。

で、次にタミフルを飲んだ後に起こるとされる異常行動ですが、データの取り方が小児科医師からのアンケート形式という統計の取り方なのですが、報告では19%とされています。


飲んで19%、飲まないで16%


最初、厚生労働省タミフルの服用と自殺などの異常行動との間に因果関係がないと会見していた理由はこの%の間に差がないと判断したためです。


僕や医者はこのようなデータは以前から知ってましたから、小児へのタミフルの投与には結構気をつけてましたし、どうしても飲ませないと高熱が引かないという子には、1,2泊入院してもらい、様子を見るという対処の仕方を病院として行っていました。


でも、マスコミの報道加熱で、子供への使用を『原則禁止』に方針を変えることになりました。


今までは、専門の医師・看護師・薬剤師が注意しながら使っていたけど、『原則禁止』だと、原則使っちゃいけないことになってしまいました。

現場は長年の経験で培った判断、絶妙なさじ加減で事なきを得てきたのだけど、原則使えないとなると、どうしても高熱が引かない子への対処が難しくなってきます。


解熱剤だけでは限界があります。
それに、解熱剤の副作用も気になります。
それに、インフルエンザで人が高熱を出すのは、熱に弱いウイルスをやっつけるために人の生態防御反応のひとつだから、無理に下げるとインフルエンザが長引くだけという結果に終わる・・・


インフルエンザはそろそろ今シーズンは収束してきたようですが、
来シーズン、日本はインフルエンザにいかにして立ち向かえばいいのでしょうかねぇ?

この件に関しては、厚生労働省の対応というよりも、マスコミがネックだねぇ
あおるだけあおっておいて、他の話題が出たら、そっちに飛びついて、もう放置ですか!? 飽きたのですか??



さてさて、先週の続きとして、過去をお話しますかね。

僕の職業は薬剤師ですが、それを意識したのは中学2年のときです。
当時というか、小学生のときから理数系に強くて、将来もそれを生かせる職業に就きたいと思ってました。

でまぁ、理数といっても、数学が一番好きだったのですが、数学を生かす職業って・・・数学学者?
当時のおいらはそれ以外思い浮かびませんでした。

数学学者って何をするんだろう?
何か、新しい方程式でも編み出して、発表するのかなぁ?

でも、新しい式を思いつかなかったら、それで食べていけるのかなぁ・・・?


・・・・・何かよく分からないからパス。


あぁ、所詮は中学生のおいら。
発想が貧困だわ。 (今でもその名残は十二分にありますがね)


それなら、数学ではなくて、理科で行くか。
理科の中でも、とりわけ化学が好きでした。

毒薬の塩酸HClと水酸化ナトリウムNaOHを等量で混ぜると、NaCl+H2O で食塩水になるという話を小学生の理科で聞いた時に、衝撃が走ったことを今でも覚えています。

それと中学校の理科の先生がとても面白い人で、その人に追いつきたいという思いもあったのですね。


で、化学で食べていく職業は・・・化学者? (発想が貧困)

それ以外に薬を扱う薬剤師もそうだなぁ・・・なんて考えました。

僕が小学生から高校までの間、おいらのかぁちゃんが薬局でパートをしていたのですよ。(特に薬剤師というわけではなく、ただのレジうちのパートのおばさんですが)

まぁ、そんなのもあって、薬剤師という職業を意識するようになりました。

そして高校に入学。
理数の強さは相変わらずで、成績の上位に食い込んでました。
ついでに言うと現代国語と古典は嫌いでした。


で、大学入試の際には薬学系に絞って受験しました。
進路の先生からは、もうちょっと志望する大学の幅を広げてみてはどうだと言われましたが、早いうちから職業を意識して、手に職をつける事を考えてのことと逆に説得しました。(今では考えられん行動力だなぁ・・・若さゆえか)


で、薬科大学合格〜
4年勉強して、薬剤師免許取得〜
それから2年勉強して、大学院卒業あんど病院薬剤師として就職〜

そして、今度の4月で4年目〜
また後輩が入ってくる〜
その教育係だ〜


まぁ、良い仕事に就いたと思いますよ。
中学と高校の時の自分を褒めたいと思います。

利点は毎日勉強。
他の職業でも当然でしょうが、毎月数回の勉強会に参加して、新しい知識をえて、仕事に反映できます。
 『知識は力』という、僕の考えに非常にマッチしてます。

そして、患者から感謝される事が多いため、仕事のモチベーションをあげてくれます。
クレームが無いわけではないですし、止むを得ない事態もあるのですが、それでも10件中9件は感謝されます。
他のサービス業では、まずありえない反応だと思いますが、毎日病室に足を運び、信頼関係を築き上げていくのは楽しいです。


さてさて、利点については書きましたが、凹む事もあるのですよ。
それについては、来週にでも書きますかね。

信頼関係を築いたがための悲劇とでも言うのかなぁ・・・